炭素繊維と鉄材は何故、環境にやさしい(環境汚染なし)と言えるのですか?
(お答え)炭素繊維は一種の炭素材で、炭素原子から作られています。炭素材料は、生物との親和性が高く、心臓弁にも使用されています。炭素材の一種である炭素繊維は、環境中におかれても腐敗することなく、水に溶けて汚染することはありません。また、環境中の生態系を破壊することはありません。炭素繊維は、引っ張り力には強力ですが、ねじり力には弱く、切れてしまいます。そのため炭素繊維単独で使用することはしないで、弱点を強化するために織物状にして使用しています。さらに、安全で安心の材料とするために、炭素繊維織物の上をネットで覆い、保護しています。環境材料は、安全で安心のできる材料でなければなりません。
鉄は、自然界に幅広く存在し、多方面で使用されています。人類とともに歩んできた材料です。水中におかれても、生態系を破壊することはありません。
不織布は「すーぱーぴーとる」において、どのような役割を果たしているのですか?
(お答え)「すーぱーぴーとる」、炭素材と鉄材とから作られています。この二つの材料が接すると、鉄イオンが生成します。これが水中のリン酸イオンと反応して、リン酸鉄が出来ます。リン酸イオンが存在しない場合には、鉄イオンは、水酸化鉄あるいは酸化鉄になります。これらは安全な物質です。色は、赤です。景観を重視する環境水の場合、赤い粉が分散することは、避けなければなりません。炭素繊維と鉄材とを不織布の袋にいれることで、赤い粉の拡がりを防ぐことができます。
表面にリン酸鉄が付着した鉄材を素手で触れるのは肌等に有害な影響を及ぼす可能性があるのでしょうか?
(お答え)リン酸鉄は、毒性の高い物質ではありません。これを素手で触った場合、トラブルが発生することはありません。しかし、皮膚が敏感な方、アレルギー疾患のおそれのある方は、手袋を使用してください。
すでに発生してしまったアオコに対する効果はどのようなものでしょうか?
「すーぱーぴーとる」で発生しているアオコを消滅させることは出来るのか?
(お答え)アオコの発生している水の中に「すーぱーぴーとる」を入れても、アオコを防ぐことはできません。「すーぱーぴーとる」は、アオコの生成するのに必要なリンを水に不溶にするものです。アオコ発生抑止ざいです。
炭素繊維の袋や鉄材のサイズが大きくなればなるほど、効果は大きいのでしょうか?
(お答え)炭素繊維の袋や鉄材のサイズが大きくなればなるほど、リンを処理する能力、速度が大となります。「すーぱーぴーとる」の重量、容積も大きくなり、据え付け、回収、交換、管理などに、重機をつかうようになります。適用する水環境のリン濃度、面積、容積、水の出入り、底泥の有無など、総合的に考慮し、経済的にも満足できる数量でおこなうことです。
一般的には何月頃から該当地に投入するのが理想なのでしょうか?
(お答え)アオコの発生は、通常は6月頃、早ければ5月頃です。実際に設置するのは、発生時期の1~2ヶ月前が望ましい。
部材の交換周期は何によって左右されるのでしょうか?
(お答え)部材の交換は、対象とする水の性質によって影響されます。水の流れ、流速、pH,塩分濃度、水温などによって決まります。
流速が大、酸性、塩分濃度が大であると、鉄の溶解速度は、大となります。また、鉄材の表面状況や表面処理によっても決まります。
鉄材の表面にリン酸鉄や酸化鉄が付着すると、それ以上反応は進行しません。炭素材と鉄材との接触状況が重要ですので、それが確保できなくなれば、交換してください。鉄材の消耗は、設置した水の流れ、温度、などによって影響されます。特に、薬剤による汚染が進行している水では、消耗は大きくなるでしょう。
どうして水中のリン濃度が減るのでしょうか?
(お答え)水中のリンはリン酸イオンとなっています。これと鉄イオンとが反応すると、水に溶けないリン酸鉄が出来ます。これによって、水中のリン濃度が減少します。しかし、鉄と反応するのは、オルトリン酸イオン(正リン酸イオン)です。亜リン酸イオンや、次亜リン酸イオンは、反応しません。強力な酸化剤を使用して正リン酸イオンとすれば、鉄と反応して水に不溶のリン酸鉄となります。
炭素繊維のどんな作用でリン酸鉄が生成されるのでしょうか?
(お答え)炭素繊維の電気伝導性を活用しています。乾電池の電極は、炭素材です。モーターブラシも炭素材です。炭素繊維も炭素材の一種ですから、電気伝導性をもっています。金属鉄と炭素繊維とを接触させると、一種の電池が出来てきます。それによって、鉄材は鉄イオンとなり、水に溶けるようになります。水中のリン酸イオンと鉄イオンとが反応することで、リン酸鉄ができてきます。
「すーぱーぴーとる」のフィルターとしての可能性はありますか?
(お答え)「すーぱーぴーとる」をつくる炭素材が、炭素繊維織物であるならば、フィルターとしての可能性はあります。フィルターとして使用するのであれば、他の素材で作った性能の高いものがあります。そちらを利用することをお勧めいたします。
「すーぱーぴーとる」は繰り返して使用できるのでしょうか?
(お答え)炭素繊維は、繰り返し使用できますが、鉄材は消耗しますので、新規と交換する必要があります。
不織布も環境にやさしいと言えるのでしょうか?
(お答え)不織布の材料は、ポリエステルです。この素材は、長年月使用すると、自然分解されます。今回の使用は、あくまでも赤い粉の拡がりを防ぐために使用します。短期間の使用、回収するシステムで実施しますので、環境にやさしいと言ってよいでしょう。
視覚での効果確認以外に、効果の確認手段があるのでしょうか?
(お答え)アオコが発生したか、しないかは、生物顕微鏡を使用して、水中に浮游している植物プランクトン(ミクロキステイスなど)の存在を観察することです。ミクロキステイスなどは、アオコ特有の形態をしていますので、区別することが可能です。さらに、水中に溶解しているクロロフィルa量を測定することです。この量が高くなると、アオコの発生が顕著になります。
水の中で鉄は錆びないのでしょうか?
(お答え)鉄は当然、さびます。「すーぱーぴーとる」は、炭素材と接触することで、はやくさびるようにしたものです。
「すーぱーぴーとる」のリン付着量には限度があるのでしょうか?
(お答え) あります。この数字は、取り付け方法、炭素繊維と鉄材との接触状況によって、大きく影響されます。
「すーぱーぴーとる」の鉄材のTP、TNの除去量はどの程度でしょうか?
(お答え) 理論的には、全リンはすべて除去可能です。全窒素は、計算できる段階には達していません。理論的には、鉄材が完全に溶解したならば、窒素も除去可能です。
「すーぱーぴーとる」の鉄材の有効期限はありますでしょうか?
(お答え)ありません。しかし、鉄材の表面に鉄の表面が露出していることが必要です。さびや酸化膜が生成していれば、効果は低下します。これらを除去すれば、使用可能です。
「すーぱーぴーとる」の最適な鉄材は(種類、表面状態)?
(お答え)鉄材の表面に純鉄が存在することです。市販されている鉄材の表面は、酸化防止膜、黒皮、亜鉛被覆膜等があります。これらがあると、反応の開始が阻害されます。黒皮の着いた鉄材では、反応の開始は極めて遅くなります。また、黒皮を取り除くためにサンドブラスをかけると、保護膜が鉄材の中に埋め込まれ、反応の開始は遅れます。旋盤で黒皮を取り除くことが必要です。
純度:高い純度であることが必要です。不純物として鉄よりもイオン化傾向が高い金属があると、最初に溶け出します。毒性のある金属が含まれていると、それが水中に溶け出すことになります。注意が必要です。
表面性状:平滑な表面よりは、租な面、微細な凹凸のある面の方が溶解は早く行われます。
密度:低い方が早く溶解します。鋳物のように巣の多くある鉄材の方が、反応は早くなります。
「すーぱーぴーとる」の鉄材と炭素材の最適な接触状態は?
お答え)「すーぱーぴーとる」が高性能を発揮する三条件が必要です。
- 炭素材と鉄材とが常に接触している。
- 炭素材と鉄材との接触点に処理する水が常に供給されること。
- 炭素材と鉄材との反応で生じた酸化鉄やリン酸鉄が接触点からとりのぞかれること。
上記の三条件を満足できるように設置することが必要であります。
「すーぱーぴーとる」の形(平板、波板、□、U字、円筒)は?
(お答え)「すーぱーぴーとる」は、様々な形状があります。板状、棒状、ゆりかご型、剣山型、および樋型などあります。設置場所によって適宜選択して使用しています。
リン濃度の違いにより「すーぱーぴーとる」の設置枚数は増減させるのでしょうか?
(お答え) 一般的には、リン濃度が高い場合には、「すーぱーぴーとる」の設置枚数は、多い方が、少ない場合よりも早くなります。
環境水の中からリンを取り除く時間によっても異なります。短時間で除去したいのなら、多く設置してください。一般的に使用されている鉄系の凝集剤を使う方法は、極めて短時間で処理できますが、鉄以外の物質によって、汚染されることになります。それがないのが、「すーぱーぴーとる」と。凝集剤との違いです。数が月で処理するならば、設置枚数は少なくても可能です。
「すーぱーぴーとる」は水中に設置後、何カ月間効果があるのでしょうか?
(お答え)「すーぱーぴーとる」は、鉄が溶けきるまで効果を発揮します。それには、「すーぱーぴーとる」の三条件」が、満足されていることです。鉄の溶解速度は、水の性状によって異なります。
「すーぱーぴーとる」の設置量は、水温によっても異なるのでしょうか?
(お答え)水中のリン除去は、化学反応です。一般的に化学反応は、温度によって影響を受けます。例えば、温度が10℃高くなると、反応速度は3倍速くなります。「すーぱーぴーとる」のリンを取り除く速度は、温度によって影響されます。
設置後、鉄電極は酸化鉄で覆われ、カーボン電極との接触が妨げられると思われますが、リン酸鉄生成速度に影響はありませんか? もしあるとすると、鉄電極面積を増やす設計になりますか。
(お答え) 反応によって生成した酸化鉄は、接触を妨害します。リン酸鉄の除去速度に大いに影響します。そのため、生成した酸化鉄は、電極付近に存在しない。除去される。はがれる。これらが実行される電極構造が必要です。
例えば、炭素繊維織物と鉄板が接触した下部は、開放された状態になっている。今は、炭素繊維の織物の中にサンドイッチしていますが、片方でも十分です。また、鉄電極もメッシュ状、炭素繊維織物の目を粗く、すきまを多くとれば、はがれやすくなります。